ぼくには数字が風景に見える(ダニエル・タメット)
ぼくには数字が風景に見える
ダニエル・タメット『ぼくには数字が風景に見える』(講談社文庫)、古屋美登里訳、講談社、2014年
【徳武 葉子・撰】
凡例
★は撰者の書き込み(私的意見)
p.13 共感覚
共感覚…複数の感覚が連動する珍しい現象で、たいていは文字や数字に色が伴って見える。僕の場合には数字に形や色、質感、動きなどが伴ってみえる。「1」は明るく輝く白で目を照らされたよう。
★私の塾に面談に来る学生の中では過去に2人。ひとりの子は数字が中心となる星が頭の中に存在し、どうやら地球とも繋がっているらしい。1時間かけて丁寧に解説してくれた。もうひとりはまだ幼く、数字に色があるのは当たり前で、自分以外の人たちの捉え方を意識する以前だった。私の場合は「3」が黄色「7」が緑を伴い、他の数字は色の交代がある。「0」に関してはブラックホールそのもので、一定のところまで考えを進めると具合が悪くなってくる。√の中に数字を入れると落ち着き、特に素数の場合はスッキリする。記号や音に関しても視覚的に捉えることが多い。
※アレクサンドル・ルリヤ(ソビエト連邦心理学者)=レフ・ヴィゴツキーらとともに文化歴史心理学を創設し、神経心理学の草分けとなる(Wikipediaより)。
p.111 7×9は?
「7×9は?」答えられない。答えを求められていることがわからない。
★「7×9はいくつになりますか?」までが大切。これは授業でも頻繁におきる。質問の範囲を限定することの大切さを感じる。
p.303 思考や論理の限界
「あらゆるもの」とは何かを完璧に理解しようとした。たちまち具合が悪くなり、心臓が激しく鼓動するのを感じた。生まれて初めて、思考や倫理には限界があり、人はそこから逃げられないことがわかったからだ。その事実と折り合いをつけるのに長い時間がかかった。
後記
やはりダニエルが書いた『天才が語る』には、グルココルチコイドと海馬の関係、鬱状態の脳と抗うつ剤の関係など脳についてから始まり、言語と数学も包括しています。3年前に読んだ本が今の自分に合っている、記録は大事ですね。